#03 「どこがいいの?」に答えられない服が好き。
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派手な服ほど、デザイン性が高いわけじゃない。
「デザイン性のある服」と聞いて、何を思い浮かべるだろう。
派手な柄。
変わった形。
目を引く色。
確かに、それもデザインだ。
でも、目立つことと、デザインされていることは同じじゃない。
むしろ私たちは、一瞬では説明できない服のほうが面白いと思っている。
「どこがいいの?」に、すぐ答えられない服
すごく派手なわけじゃない。
奇抜な形をしているわけでもない。
なのに、なぜか目に留まる。
そんな服がある。
肩が少し落ちている。
パンツのボリュームが絶妙に違う。
縫い目の位置が普通じゃない。
素材の組み合わせに、少しだけ違和感がある。
ひとつひとつは小さな違いなのに、着てみると普通の服とは何かが違う。
私たちは、そこにデザインの面白さがあると思う。
デザインは、足せばいいわけじゃない。
柄を入れる。
色を増やす。
パーツをつける。
シルエットを大きく変える。
要素を足せば、服は分かりやすく「デザインされた服」になる。
でも、足せば足すほど格好よくなるわけではない。
むしろ難しいのは、
どこまで普通で、どこから普通じゃなくするか。
その境界を考えることだと思う。
白いTシャツでも、首元や肩の落ち方、丈の長さが少し違うだけで、見え方は変わる。
黒いパンツでも、一本の切り替えやシルエットの違いだけで、普通ではなくなる。
大きな声で「デザインしています」と主張しなくても、服は変えられる。
服は、全部を語らなくていい。
服を見ただけで、その人のすべてが分かる必要なんてない。
ただ、
「この人、なんかいいな」
と思わせるくらいでいい。
全身で個性を主張しなくてもいい。
ベーシックな服の中に、ひとつだけ変なものがある。
よく見たら、普通じゃない。
そのくらいのほうが、日常では面白かったりする。
普通と奇抜の間。
IAKUがつくりたいのも、その間にある服だ。
無難すぎると、物足りない。
でも、奇抜すぎると、着る場所を選ぶ。
だから、そのどちらでもない場所を探している。
一見すると馴染んでいる。
でも、よく見ると何かがおかしい。
その小さなズレを、私たちは「静かな違和感」と呼んでいる。
派手じゃなくてもいい。
誰にでもすぐ理解されなくてもいい。
なんとなく気になる。
服のデザインは、そのくらいから始まってもいいと思う。